ひきこもりマルチリンガルw

低レベル日中英マルチリンガルw ( 育児ブログ反省・カナリア・モルモット・TV・アプリ )

「少年犯罪と発達障害」とギフテッド

( お断り:本日は、思い切りマジメなブログでございます。)
「大人たちはなぜ、子どもの殺意に気づかなかったか? 
ドキュメント 少年犯罪と発達障害」草薙厚子
を読みました。

【英国で起きた15歳少年の教師刺殺事件】

次男ジローは、いま、15歳です。
長崎佐世保で同級生を殺した生徒も15歳。そして
4月末、英国の中等学校( Secondary School 12-16歳 )の教室で、
女教師を背後から刺し殺したのも15歳の少年でした。
英国史上初の、教室で教師が自校の生徒に殺される事件となりました。
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この事件に衝撃を受け、ママ友に相談したりもしたのですが
この時、もっとも知りたかったのは、この加害者生徒が
どんな少年で、どんな環境で育っていたか、です。

じきに、少年と、その家族に関する、近所の人々や同級生が
抱いていた印象やFacebookに載っていた情報が報道され始めました。

学校の成績は、殺された教師の担当していたスペイン語以外は、
非常に良く、どれもトップ・クラスだった。
(英国の学校は科目ごとに能力別クラスに分ける事が多い。)

自分の殻に閉じこもっていて友だちはいなかった。

近所の人が挨拶しても無視し、目も合わせようとしなかった。

両親は離婚しており、少年は、人事(HR)マネージャーの母親と、
地元でロックバンドをやっている大学生の兄と暮らし、
父親は新しいパートナと、間にできた2~3歳くらいの子と暮らしていた。
……

日本と英国のどちらの殺人事件も
「加害者は発達障害」なんじゃないか
と、おそらく、発達障碍について、ちょっとだけでも
調べたことのある人なら、頭に浮かんでくるのではないでしょうか?

【加害者の発達障害を疑うのはタブー】

そして
発達障碍のない「定型発達」の青少年が凶悪事件を起こす割合と
発達障碍のある青少年が凶悪事件を起こす割合と
比べてみれば、前者の方がはるかに多いのでは、と
漠然とした印象をもっている人々が大多数であったとしても、
衝撃的で意外性の高い少年犯罪事件が起きた時に
「加害者には発達障害があった」と言うのは
たとえ、それが事実であっても、何となくタブーで、
また、
加害者の発達障碍を疑うのは
たとえ、「シロウト目にも、明らか」に見えたとしても
厳密にタブーである…そんな
暗黙の圧力を感じる事が多々あります。

この本は、そんな、見当違いにも思える圧力を
もどかしく感じている人々に、
「こんな本が読みたかった」
と、思わせるような、簡潔にまとまった読みやすい力作です。
しかし、
そう思わせることが、一概に良いこととは言えず、
また、
ここに書かれている情報の正確さを論じるだけの知識は私には
ありませんし、そもそも、どんな情報でも盲目に信じたり
どんな論説にも盲目に従うことは全くないつもりですが、
著者に関する一切の事前知識なしで読んだ上で
一読を、強く、おすすめしたくなる本だと感じました。

「発達障害者」と少年犯罪を結びつけているのではありません。
実際に発達障碍をもっていた加害者と親に、適切な支援があり
加害者が早期療育を受けていたら、その事件は防げ、
被害者の命は無残に失われることはなかったかもしれない…という、
加害者にも被害者にもなり得る子ども達に
少しでも明るい暮らしやすい未来を与え、社会を守るために
何ができるか、と問いかけ、呼びかけている本です。

【統合失調症で入院30年の兄には発達障害があったか?】

ところで、
私の兄は、当時は、わからなかったものの、今思えば
ほぼ確実に「高機能」の「発達障害」があったはずですが
まだ、発達障碍という認識が一般的ではなかった時代で、
先生たちに「おかしい。検査が必要」と言われても
両親は、それを受け入れられなかったようで、
結局、兄は、母の死もあり、大学卒業後は、
どう見ても変であるのが一目瞭然の状態を数年続け
それが明らかに悪化した時に入院し、30年たった今も
統合失調症という病名のもと、「精神病院」で、暮らしています。

もし、この本に書かれているように
兄が、早期療育を受けていたら、今、どうであったか…

発達障碍について知ることは、私にとっては
「失われた、もう1人の兄」について知ることでもあります。

【英国のギフテッド教育】

近年、おそらく「エジソンの母」というラブコメの頃から(?)、
日本だけではなく、英国でも、「ギフテッド」についての
興味が、高まった模様で、ちょうど、その頃、
小学5〜6年生だった長男タローも、校長先生と担任の先生の推薦で、
地方自治体が行っている一般的なギフテッド教育・課外コース、
地元の村の中学での数学のみ放課後ギフテッド・クラスに1年、
夏季休暇中、美術のギフテッド(爆)に一週間と通いました。

先生がたに感謝しつつも、正直な気持ちでは、
小さいジローを連れ送迎の手間が増え、かなり負担であり、
終わった時には、嬉しかったものです。

もっとも、タローは、それなりに楽しんでおり、
また、中等学校( 地元の進学校 )に、進むと
そのギフテッド・クラスで知り合った友だちが
たくさんいたので、新しい環境に、
すんなり溶け込むことができたとも後に語っておりました。

そんなギフテッド教育ですが、地元の自治体だけを見ると
数年前あたりから、どっと下火になったようですし、
実際に、その当時、TVで、目についていた
「ギフテッド児童」の実況中継的な、
あるいは
ギフテッド・天才と呼ばれた子どもたちの「その後」的な
ドキュメンタリー番組を今は見かけなくなりました。

その番組の中で、もっとも印象に残ったコトバ
「我々の社会は天才を必要としている。」
これは、まさに
英国のギフテッド教育の「哲学」だったと思います。

国益としてのギフテッド教育なのです。

「ギフテッド児童」が、クラスで、生きにくいのを
救うためではなく
結果的に、社会が恩恵を受けるためのギフテッド教育なのです。
そうでなければ、税金を払う国民にも納得してもらえないでしょう。

ところが、そもそも、本当の意味でのギフテッド・天才児が、
そんな、あちこちに、いるわけではないのは当然で、
結局、うちの長男のように、
自他ともに認める「明らかにギフテッドではない」が
先生受けの良い明るい優等生的な児童が参加する
ご褒美クラス的になっていってしまい
「国益」には結びつかないと判断されたのか、
いくつもあったコースは、いつのまにか
無くなってしまったようです。

その反面
発達障碍児童へのサポートは、しっかり続いているようです。
これも、やはり、国益なのではないでしょうか?
早期療育、そして、発達障碍児童と父母への支援が
将来の社会を住みやすくするために効果があると
認められつつあるからではないかと思います。

【発達障害をギフテッドと思い込む危険】

以前、
「ギフテッド・チャイルド育児カテゴリー」に
属するブログを何件か、友人から教えてもらい
拝読したことがあるのですが、ちょっと気になったのは
「ギフテッドには凸凹がある」
「ギフテッドはOE( 過度激動 )」
と、きめつける一方、
明らかに発達障碍ではないかと思われる状態を
ギフテッドだから、と、思い込もうとしているとしか
思えないような記述が散見されたことでした。

凸凹やOEのないギフテッドも当然います。
大学や職場で、天才や、それに近い人と触れ合う機会があれば
自然に、わかることです。

もちろん、凸凹やOEのあるギフテッドもいるでしょう。
けれども、
国家が国益として、どちらを優先するかと言ったら、
小学校では、
ギフテッド児童の凸を伸ばすほうではなく
ギフテッド児童の凹を支援するほう、つまり、
発達障碍児への早期療育と学校での支援なのは当然でしょう。

また、凹を、支援してもらわずに育ち、
凸が活かせるようになるとは、どうしても思えません。
もし、それが可能であったとしても、
非常に稀なのではないでしょうか。

凹への誠実な対処あってこその未来ではありませんか?

ギフテッドというコトバに惑わされて
凹部分を軽視してしまい、
早期療育のチャンスを失うことがないよう、
願ってやみません。


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